リーバイス デニムジャケット 年代判別で損しない!ヴィンテージ4大モデルの見分け方・価値・査定のすべて
リーバイスのデニムジャケット(Gジャン)は、単なるワークウェアを超え、時代ごとに異なるディテールが価値を左右する“プロダクトアーカイブ”です。
とくに506XX/507XX/557XX/70505の4大モデルは、赤タブ(ビッグE/スモールe)・パッチ・ボタン裏刻印・縫製の差を理解できるかどうかで、査定・相場が大きく変わります。
「自分の一着は本物のヴィンテージ? 何年頃?」
その迷いを解くために、年代判別の基本 → 4大モデルの要点 → 復刻(LVC)の見分け → 相場と査定 → ケア方法 → よくある質問の順で、初級〜中級者でも即実践できる形に整理しました。
リーバイスが愛される理由と“ヴィンテージ”の魅力
リーバイスは19世紀末のワークウェア起源。その後、鉱夫・労働者の耐久服から、映画・ロック・カウンターカルチャーに象徴されるアイコンへと進化しました。
Gジャンは1950年代の反骨、60〜70年代の多様性、90s以降のストリート回帰を経て、世代横断の定番に。
ヴィンテージの魅力は、同じ品番でも年代で細部が違うこと。
糸・縫製・型紙・タブ・パッチ——その小さな差が**“語る価値”と“市場価値”**につながります。
年代判別の基本:まず“ここ”を見れば外さない
1)赤タブ(LEVI’Sの“E”)
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ビッグE(大文字E):概ね**〜1971年頃**。ヴィンテージ価値の重要サイン。
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スモールe(小文字e):1970年代以降。同一モデルでも価格差が出やすい。
2)パッチ(革/紙・表記・劣化具合)
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旧い個体は革パッチ、のちに紙パッチが主流。表記の書式・印字も年代手がかり。
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判読可否は査定で重要。無理な洗濯で剥離しないよう注意。
3)ボタン裏刻印(工場番号・期の手がかり)
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2桁数字や記号で工場や期を推測。モデル単独では断定不可だが、他要素と複合判断で精度UP。
4)ギャラ入りタグ(“CARE INSTRUCTION”“Every Garment Guaranteed”等)
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一部年代でのみ存在。残存すれば希少性+資料価値。
5)前期/後期の仕様差
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ポケット形状・プリーツ有無・シンチバック・縫いなど。
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同じ品番でも仕様差=価格差。前期が高い傾向が一般的。
4大モデルの見分け方を“表と要点”で理解する
まずは俯瞰:4モデル早見表(実用版)
モデル | 通称 | ざっくり年代 | 主な特徴 | 判別・価値のツボ |
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506XX | ファースト | 1930s〜50s前半 | 胸ポケット1/プリーツ/シンチバック | 革パッチ/バックル形状(針有無)/大戦簡略仕様は激熱 |
507XX | セカンド | 1950s中〜後 | 胸ポケット2/プリーツ継続 | 革→紙パッチの変遷/片面タブ/縫製糸色で前後期判定 |
557XX(→557) | サード | 1962〜67(557XX表記期) | プリーツ廃止/現代的シルエット/Vステッチ | 紙パッチ表記(XX有無)/ビッグE、短命期ゆえ状態良は希少 |
70505 | “フォース”とも | 1967〜(70s以降主力) | 着丈がやや長い/Type 3系の進化形 | 〜71年頃までビッグE。e移行後は流通多いが前期は狙い目 |
※年代は目安。個体差/移行期のブレは常に想定し、複数要素での総合判断が鉄則。
506XX(ファースト)の見分け方と価値



押さえるべき特徴
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胸ポケット1/前身頃プリーツ/背面シンチバック(バックルバック)
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前期:針有りバックル/後期:針無しスライドの違い
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革パッチの残存、**大戦簡略(ステッチ・リベット・ボタン等の簡略化)**個体はさらに希少
ここを見て判定
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革パッチの有無・読み取り可否
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バックル形状(針/スライド)
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赤タブ(片面/ビッグE)
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縫製の簡略痕跡(大戦期)
価値傾向
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ファーストは最上位相場帯。大戦仕様/革パッチ・タブ良好/サイズ良で数十〜100万円超の世界も。
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オリジナル性(リペアの仕方含む)が査定直結。
507XX(セカンド)の見分け方と価値

押さえるべき特徴
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胸ポケット2/プリーツ継承/身幅がやや広い
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前期:革パッチ/後期:紙パッチへの移行
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**片面タブ(ビッグE)**の残存は強い査定材料
ここを見て判定
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パッチ素材の変化(革→紙)
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ボタン裏刻印(複合判断)
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タブ仕様(片面/ビッグE)
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縫製糸色・カンヌキ形状などの時期的差
価値傾向
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ファーストに次ぐ高相場。革パッチ前期×状態良はプレミア。
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近年は**サイズ良(特に大きめ)**がさらに評価される流れ。
557XX(サード)→557の見分け方と価値
押さえるべき特徴
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プリーツ廃止/モダンな型紙/Vステッチ(胸ポケ合わせ部ほか)
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パッチ表記の変遷:557XX → 557 へ。
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生産期が短い(〜1967頃のXX期)=状態良は希少
ここを見て判定
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紙パッチの表記(“557XX”か“557”か)
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赤タブ(ビッグE)
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Vステッチの位置・縫製ニュアンス
価値傾向
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**現代のGジャン“原型”**として人気が高い。
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557XX表記×ビッグE×状態良は安定強含み。**557(ビッグE)**も狙い目。
70505の見分け方と価値

押さえるべき特徴
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着丈がやや長い(557よりバランスが現代的)
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Type 3系の完成度が上がり、70s以降の主力に。
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〜71年頃までビッグE/以後スモールeが基本線。
ここを見て判定
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赤タブ(ビッグE or スモールe)
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紙パッチの表記・残存
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ボタン裏刻印で期を絞る
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**縫製の仕様差(前後期)**の積み上げ
価値傾向
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流通量は多いが、ビッグE期は評価高め。
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サイズ・色残り・ダメージの質でレンジが大きく変動。
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入門〜中級の集めやすい“勝てる”モデル。
復刻(LVC)と本物ヴィンテージの見分け方
**LVC(LEVI’S VINTAGE CLOTHING)**は忠実復刻が魅力。現代の品質表示タグ・生産国表記(JP/US/EU等)・サイズレンジが手がかりに。
“不自然な新しさ”(紙パッチの状態が良すぎる/色落ちの出方が現代的)も判断材料。
チェックポイント(総合判定)
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赤タブ:フォント・縫い付け位置のニュアンス
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品質表示:現代的ラベルの有無
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パッチ:紙のエイジング/革の経年が自然か
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ボタン裏:刻印形式の整合
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縫製:チェーン・環縫い・ステッチ幅の“雰囲気”
結論:単独要素で断定しない。複数要素の合致で見極めるのが安全。
相場・査定で“損しない”ための実務
ざっくり相場感(目安)
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506XX:数十万〜100万円超(大戦仕様・革パッチ良・サイズ良で上振れ)
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507XX:十数万〜数十万円(前期革パッチ×状態良が強い)
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557XX/557(ビッグE):数万円後半〜十数万円超(XX表記・状態で上振れ)
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70505(ビッグE):数万円台〜(サイズ・色残り・ダメージで広く変動)
※市場・為替・トレンドで動きます。最新相場の“帯”を把握し、ディテールの積み上げで査定交渉を。
高く売れる条件(査定の着眼)
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赤タブ・パッチ・ボタン裏刻印が判読可
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オリジナル縫製・パーツの保持
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サイズの妙(現代的に着やすい=評価UP)
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ダメージの“味”が良い(致命的でない、補修が自然)
やりがちNG
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査定前の強い洗濯・乾燥機 → パッチ剥離/縮み/色落ち変化は減点。
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過度なリペア → 当時の雰囲気を壊す補修はマイナス評価。
ヴィンテージを長持ちさせる洗濯・お手入れ
洗濯頻度は最小限/陰干し中心が基本姿勢。
革パッチは水に弱いため、手洗いでも極力濡らさない配慮を。
実践ステップ
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日常:ブラッシングで埃落とし、陰干しでリフレッシュ
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部分汚れ:中性洗剤を薄め、スポット洗い
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全体洗い(必要時のみ):ぬるま湯+中性洗剤でやさしく押し洗い→短時間すすぎ→タオルで軽く水を取る
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乾燥:直射日光×/陰干し○。形を整え平干し気味に
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保管:湿気対策優先。過密収納×、通気○。防虫剤は直接触れないように
ポイント
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熱(乾燥機・高温アイロン)厳禁
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パッチ・タブ・印字は“資料”。守る意識で扱う
“一発で役立つ”年代判別チェックリスト
赤タブ
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ビッグEか?(〜71年目安)
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片面タブの可能性は?
パッチ
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革 or 紙/印字判読可?
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557XX/557/70505などモデル表記は?
ボタン裏刻印
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数字/記号の有無(期を絞る補助情報)
仕様差
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プリーツ有無(506/507のみ)
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シンチバックの有無・形状(506)
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Vステッチ(557)
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着丈の長短(557 vs 70505)
総合
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前期/後期のどちら寄りか
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復刻の可能性(品質表示・“新しすぎる”違和感)
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実寸・状態・色残りで価格帯を想定
よくある質問(FAQ)
Q1. 品番が読めません。どう見分ける?
A. 赤タブ/パッチ材・印字/ボタン裏刻印/仕様(プリーツ・シンチ・Vステッチ)を複合。
前期/後期の文脈と実寸も加え、総合点で年代推定します。
Q2. 一番価値が高いのは?
A. 一般に506XX(ファースト)。大戦期仕様×革パッチ×状態良はトップレンジ。
次点で507XX、続いて557XX/557(ビッグE)、**70505(ビッグE)**の順が目安。
Q3. 復刻(LVC)でも買う価値ある?
A. 日常使用・サイズ展開・価格安定で十分価値あり。
投資性はオリジナル>復刻だが、“着る楽しさ”×耐久性を求めるならLVCは最適解。
Q4. 洗濯やリペアで価値は落ちる?
A. 落ちる可能性あり。とくに革パッチ剥離/強い色落ち/不自然な補修は減点。
ただし、自然で当時的なリペアは許容されることも。やる前に査定相談が無難。
まとめ|“知るほど守れる、そして高く売れる”
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**4大モデル(506XX/507XX/557XX/70505)**は、タブ・パッチ・ボタン裏・仕様差で年代を判別。
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ビッグE(〜71年目安)は価値の重要サイン。前期/後期の把握でさらなる精度へ。
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**復刻(LVC)は品質表示タグ・“新しさ”**を手がかりに。複合チェックで誤判別を防止。
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査定はオリジナル性・資料性(タブ/パッチ)・サイズ・色残りが直結。洗濯は慎重に。
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ケアと保管で価値を守りつつ育てる——それがヴィンテージの醍醐味。
今日のアクション
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手持ちのジャケットをタブ→パッチ→ボタン裏→仕様の順にチェック。
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前期/後期を仮決めし、相場帯をざっくり把握。
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出品/査定の前に洗濯は控え、陰干し+軽いブラッシングで整える。
“見る目”がつけば、あなたの一着はもっと語り出す。
そしてその物語こそが、価値になるのです。